バイ貝は日本各地の沿岸で採れる巻貝です。
春から初夏にかけて多く出回り、殻付きのまま煮つけなどにしてお店などで提供されています。
バイ貝にはテトラミンという毒が含まれているため、自宅で調理する際には下処理が必ず必要になります。
テトラミンは唾液腺と呼ばれる部位に蓄積されます。
加熱しても分解されませんので、加熱調理、生食どちらの場合にも唾液腺を取り除くという、下処理をするようにしましょう。
この記事では、バイ貝の下処理方法や軟らかく煮るコツ、つぶ貝との見分け方などについて調べました。
バイ貝に下処理が必要な理由
テトラミンは毒性は弱いと言われていますが、人によっては重症化することもあります。
テトラミンを摂取すると食後30分程度でものが二重で見えたり、めまいやしびれ、頭痛などの症状がおこる場合があります。
しかし、死亡例はなく、症状も一過性のものなので2~3時間で回復することがほとんどです。
バイ貝を下処理なしで食べれば必ずテトラミン食中毒になるかといえばそうでもなく、少量なら大丈夫なこともあります。
テトラミンの蓄積は海流やエサに大きく左右されるため、漁獲される地域によっても差があります。
食べてみるまでは毒があるかどうかを判別することはできませんので、安全に美味しく食べるために自宅で調理する際は下処理をするようにしましょう。
バイ貝の下処理の方法|煮つけ
バイ貝に含まれる毒「テトラミン」は熱に強いため、煮ても焼いても分解されません。
加熱処理すれば大丈夫、ということではありませんので、必ず下処理をしましょう。
また、活きがよく鮮度がいいかも確認しましょう。
いい貝はフタをさわるとすぐに閉じようとします。
鮮度が落ちているもの、死んでいるものは身にしまりがなく、貝殻から身がだらーんと飛び出ています。
鮮度の悪いものが混じっていたらあらかじめ取り除いておきましょう。
唾液腺は肝ではなく、身の方にあります。包丁で身に切り込みを入れ、唾液腺を取り除きます。
- ボウルやバットにバイ貝が浸るくらいの水を入れて貝同士をこすり合わせ流水でよく洗います(汚れがひどい時はたわしなどで貝をこすります)
- 鍋にバイ貝とたっぷりの水と塩を入れて(3%程度、海水くらい)、中火で加熱します。煮立ったらザルに上げ水で洗って水けをきります。
- 爪楊枝などで身を刺して殻から引き出します。
- たてに切り込みを入れ身を開きます。内臓付近の乳白色の部分、唾液腺を取り除きます。殻ごと煮つける場合は唾液腺を取り除いてから身を殻に戻します。肝は加熱すれば美味しく食べられます。
出典:大阪府ホームページ https://www.pref.osaka.lg.jp/shokuhin/shokutyuudoku/tubukai.html
バイ貝の下処理の方法|刺身
バイ貝の肝は生では食べられません。刺身で食べる時には唾液腺とともに肝も取り除きましょう。
- バイ貝の殻を包丁のみね部分などで叩き割ります。袋に入れた状態で割ると破片が飛び散りません。
- 身を取り出して、水でさっと洗います。
- 肝と身を切り離します。
- 触角という2つの突起のある方向から縦に切れ目を入れます。
- 切れ目から赤い管と乳白色の唾液腺を取り除きます
- 塩でもみ洗いし、ぬめりをとります。
バイ貝を柔らかく煮る方法
バイ貝は筋肉質な貝で、赤身の牛肉や、豚もも肉のような感触です。
身がしっかりしているので、柔らかく煮るのに少しコツがいります。
ポイントはさっと茹でるか、じっくり煮込むか、どちらかで調理することです。
中途半端な煮込み時間だと固くなってしまうのです。
【バイ貝の含め煮】
短時間で仕上げる含め煮です。さっと煮て、冷ましながら味を染み込ませていきます。
バイ貝はあらかじめ唾液腺を取り除く下処理をしておきます。
- 鍋に煮汁を作る。水:薄口醤油:みりん=7:1:1の割合で入れる。好みで砂糖を入れ甘味を調整する。
- バイ貝を入れて火にかける。
- 沸騰してから7分程煮込み、火を止める
- そのまま自然に冷ます。粗熱がとれたら冷蔵庫で一晩置いておくと味がしっかり含まれる。
【バイ貝の柔らか煮】
大根を入れることで酵素の働きで柔らかくなります。時間をかけてじっくり煮込みます。かなり時間がかかりますが、確実に柔らかく仕上がります。
バイ貝はあらかじめ唾液腺を取り除く下処理をしておきます。
- 鍋やステンレスのボウルにバイ貝を入れ、水10に対して2割の酒を入れる。
- 大根とあれば昆布を入れる。(昆布はなくても大丈夫)
- 蒸し器に入れ弱火で2時間前後蒸す。
- 薄口醤油を入れる。甘味が好みであればみりんと砂糖を少し入れる。
- さらに2時間蒸す。
バイ貝とつぶ貝の見分け方
バイ貝は見た目がつぶ貝にとても似ています。
どちらも巻貝に分類され日本各地の浅瀬に生息しています。
つぶ貝もバイ貝と同じように唾液腺にテトラミンという毒成分が含まれています。
見た目がとても似ているため、地域によっては混在して販売されていることもあるほど。
しかし、貝殻にはっきりとした違いがあります。
バイ貝は表面が丸くてなめらかです。
対してつぶ貝は縞状の凹凸が多くゴツゴツしています。
つぶ貝はコリコリとして味が濃く、磯臭さも少ないため新鮮であれば刺身で食べるのがおすすめです。
バイ貝は刺身や煮つけで食べられますが、煮つけがポピュラーです。
バイ貝はダシがよく出るので、煮込んだり、酒蒸しにするとおいしく食べられます。
まとめ
- バイ貝には唾液腺にテトラミンという毒があり、下処理が必要
- バイ貝の下処理では内臓付近の乳白色の部分、唾液腺を取り除きます。肝は加熱すれば美味しく食べられます。
- バイ貝を柔らかく煮るのには、さっと茹でるか、じっくり煮込むか、どちらかで調理することです。中途半端な煮込み時間だと固くなってしまいます。
- バイ貝は表面が丸くてなめらかです。対してつぶ貝は縞状の凹凸が多くゴツゴツしています。